【ハート将棋物語】〜ハートサンドゲーム〜(後編)

(後編)   ※前編はこちら

 

ん??ハートサンドゲーム?なんだそれ?

「ハート将棋を使った新しいゲームだよ。あたしがさっき考案した。ショーギ少年に参考意見を聞きたい」

新しく考案したゲーム、と言われてちょっと心が動いてしまった。本当を言えば、ハート将棋ももっとちゃんと見て触ってみたかったんだ。だから立ち上がって、ナナコさんや女の子たちの方にちょっとだけ近づいた。

「みんなとちょっとやってみていたんだけど、ルールが今一つ思い出せな…違う、思いつかないところがあって。ほら、こっちにきて、少し助けてよ」

ナナコさんがぼくの方に手をかけて隣に座らせた。しかたがないのでハート将棋を手にとってみた。意外と大きい。でも軽い。つるっとした手触りだ。二本指でつまんでパチン、と音を立てるのはできないんだろうと思ってたけど、そんなこともなかった。なんだ、ちゃんといい音する。ちょっと悔しい。

「えーと、ハートサンドゲームは歩のコマだけを使います」

山になったハートの中から、女の子たちが歩の駒を探し始めた。

「裏が『と』のやつだよね」

「そうそう。白チームとピンクチームに分けて並べて」

「縦と横に進むんだよね」

「ハートをサンドしたら取れる」

1年生の女の子たちがうれしそうに言う。

「うん、じゃ、ショコちゃんとレイナちゃんでも一回やってみて。困ったとこでショーギ先輩に意見を聞いてみよう」

いつの間にショーギ「先輩」になったのかわからないけど、まあ、見ていてやろうっていう気になった。ナナコさんが考えたハートサンドゲーム、どんなものなんだ?
白いハートとピンクのハートが盤の両端にずらりと並んだ。なかなかキレイなもんだなあ、と思ってしまった。可愛いけど結構りりしい感じだ。

 

ハートサンドゲーム

まずは白いハートが8五にすっと進む。レイナって子がピンクハートをつまみあげて7六にポンと置いた。白ハートが6六に。ピンクが5六。…えーこれって!!??

「ハートサンド!1個とった」

「挟み将棋じゃん!」

レイナって子とぼくが同時に叫んだ。

ハートサンドゲームって要するに挟み将棋のことだった。ナナコさんが考えたなんて大うそだ。ぼくは幼稚園より前からずっとやってた。

「あはは、やっぱりばれたか。そうだよな、ショーギ先輩だもんな」

ダマサレタ。「あたしがさっき考案したゲーム」だって?良く言うなあ。

「ごめん、ごめん、ヤマキくん。いや実はさあ、女の子たちと始めてみたはいいけど、端っことか角とかどうやって取るんだったか忘れちゃって。あたしももう10年以上ぶりだからさ、将棋やるなんて」

「昔はやってたんだ」

「ほんの小さい頃ね。おじいちゃんと挟み将棋専門。あ、ハートサンドゲーム専門」

「やっぱり、挟み将棋じゃん」

「いや、これは本当に私がさっき思いついたから。ハート将棋でやる挟み将棋は『ハートサンドゲーム』と呼ぶんだ」

ショコちゃんって子が言った。

「ショーギ先輩ヤマキくん、さっきはこの端っこのハートが取れなかったの。どうやったらよかった?」

「ああ、それはね、相手の動きを封じたらいいんだよ」

「うごきをふうじる?」

「例えばね…」

ぼくはピンクと白のハートを盤の角に並べてみた。

「こうやって囲んでしまう形をとれば、もう白は動けないよね」

「わあ。うごきをふうじる、だね」レイナの方が言った。

「あと、こういう形にすれば3つまとめて取れるよね」

ぼくはなんだかちょっと、興奮してきちゃったのかもしれない。挟み将棋のパターンのいろいろな形を並べて解説をし始めていた。

「あと、必殺の技もある」

「ヒッサツ?!」

「ああ、でもなあ、これはゲームが面白くなくなっちゃうから教えない方がいいな」

「えー!?ショーギ先輩、ヒッサツ教えてよお!」
「ずるーい」
「まあ、まずは二人で対戦してみなよ。ぼくは見てるから」

ぼくたちのやりとりが気になったのか、ほかにも何人かの女の子たちが周りに集まっていた。
「次は私も入らせて」

「面白そう!どうやるの?」

「お、ショーギ先輩ヤマキ氏、いつの間にか大人気だねえ」ナナコさんがからかうように言った。

「べ、別に」

「うふふ。まあ、今日はこんなだけどさ、だんだんと本当の将棋もやりたいって言ってくる子が増えるよ、絶対。そしたらショーギ先輩、嫌がらないで教えてあげてよね」

「どうかな」

ぼくはそっぽを向いちゃったけど、本当はちょっと嬉しかったんだ。詰め将棋にもそろそろ飽きてきたしね、みんな将棋が楽しいって思ってくれたら、対戦もして腕を磨けるかななんて。

「ショーギセンパーイ、ここはどうやるんだっけ?」

ハートサンドゲーム対戦中の女子がぼくを呼んだ。あれ?何だか「ショーギ先輩」って呼び方が定着しちゃいそうな気配だな。それもまあ、いいね。

ハートサンドゲーム

 

【ハート将棋物語】〜宇佐木野生(うさぎのぶ)作〜

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*実際に「ハート将棋」を購入されたお客様からお伺いしたお話をベースに、

作家・宇佐木野生(うさぎのぶ)さんが「ハート将棋物語」を執筆しました。

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https://www.heart-shogi.com/

 

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