【ファーストシューズ物語】〜おばあちゃんの「ファーストシューズ」〜

お友達がね、ランチに誘ってくださってね。沖縄料理のお店でって。3人で行ったんですよ。沖縄料理って、ゴーヤチャンプルとか、ソーキソバとかしか存じませんでしたけど、ちょっと楽しみでね。なんていうんですか、居酒屋風とでもいうのかしら、そんな小さなお店で。色々なお料理があって、美味しかった。野菜がたくさんでね。ああ、でも、お料理の名前をあんまり覚えてないわ、いやあねえ。

ああ、ごめんなさい、今日はお店の話ではないのよね。「ファーストシューズを作ることになったきっかけ」でした。

ええと、そこでね、お友達に言ったんですよ、「私もやっとおばあちゃんになれるみたい」って。息子からメールが来ていてね、それを見せたりして。「秋には俺はオヤジになるぞ、あんたはばあさんだ」ヒドイ言い方ねえ、って笑われたけど、まあ、昔からそんな子なんですよ。

そしたらね、お友達のエイコさんが

「あなた、お裁縫得意だから、お孫さんのためにいろいろ作ってあげよう!なんて張り切ってるんじゃないの?」って。

うーん、そんなに得意っていうこともないのだけれども、赤ちゃんのために何か作れたらいいなあ、とは思っていたの。昔だったらオムツをせっせと縫ってあげたらよかったのだろうけど、今はみなさん、紙おむつでしょう。だからまあ、赤ちゃんのエプロンやお手拭きみたいなものだったらすぐに作れるんじゃないかな、って。いずれはお洋服なんかも作ってあげたいとは思うけれど。

「だめよー、だめ。頑張っても嫌がられるだけだからやめなさいな」

「そうよね。お嫁さんに言われちゃうのよ、お義母さん、今はこういうのはあまり…ってね」ってもう一人のお友達クニコさんもいうんですよ。

「よだれかけをね、丁寧にお花の刺繍を入れて何枚も作ったのよ。そしたらスタイ(今はそういうのよ)はもっと洗いやすい実用的なものの方がいいんです、って」

「私は幼稚園に持っていくバッグを可愛い布で作ってあげたのね。でも、これはなんとか戦隊のじゃないから嫌だって。孫本人が言うんだから」

おばあちゃん歴の先輩二人ともが、張り切って手作りなんかするのはやめた方がいい、って言うもんだから、びっくりしてしまって。

まあ、私たちの頃は赤ちゃんのモノなんて、自分で作るか、お祝いにいただくかが普通だったんですよ。若い夫婦がお金を使ってモノを揃えるのは大変だろうなあ、なんて思ったりもするから、自分に何かできることないかしらっていう気持ちでねえ。でもそんなのはもう、イラナイ事なのかしらね。サヤカちゃん(あ、うちのお嫁さんサヤカさんっていうんですよ)に迷惑がられるだけかしら…。

ちょっとため息でもついたかしらね。お店の壁をボンヤリ見上げたらね、見つけたの。「ファーストシューズ作りワークショップ」ってポスターが貼ってあったの。いろんな形の可愛らしい靴のお写真が並んでいてね、まあ、こんな靴が手元にあったらもう、このままお部屋に飾りたいくらいだわあ、こんなのが自分で作れるの?生まれてくる赤ちゃんが履いてくれるの?そんな事想像しちゃって、さっきの凹みかけた気持ちは何処へやら。わあ、作ってみたい。ぜひ作ってみようって決めてしまっていたんです。

お友達二入にはその時はそんなこと言えませんでしたよ。ええ、そうよね、もうおばあちゃんが手作りするような時代じゃないのよね、なんて答えて。けれどもね、うちに帰ってからお店に電話してみました。「ファーストシューズ作りワークショップ」に参加したいんですけどって。

ファーストシューズワークショップ

ワークショップっていうのは、どんなものだかよくわからなかったんですけどね、昔ちょっと通った洋裁教室みたいなものなのかしらと思って行ったんです。でもね、作業しながらお茶をいただいたり、美味しいご飯を食べたりね、すごく楽しかった。お若い人ばかりだったけど、みなさん親切で仲良くしてくださって。

私は黄色めの色の皮を選びました。まだ、生まれてくるのが男の子か女の子かもわからなかったのでね。あ、男の子は青、女の子は赤、っていうのも古い考えなんでしょう?そういうとこなかなか抜けられませんね。

材料がちゃんとセットになっていて、わかりやすい説明の紙もついていて。ひと針ずつ刺してはいくんですけど、もう穴があいているし。型紙を作って、皮を切って、っていう手間があるのが当たり前だと思ってましたから、親切すぎてびっくりしましたよ。

周りの皆さんより少しばかり早く、なんとも可愛らしい黄色い靴が出来上がりました。「わあ、すごい!さすが手際がいいですね」なんて言っていただいたりして。まあ、私たちの世代はこういう作業にはなれていますからね。でも、久しぶりに褒められて、ちょっといい気分になっちゃいました。
靴を手に乗せてみると、まだ生まれてもいないのにこれを履く子のことを想って涙が出てきそうでした。これはおばあちゃんがになった私が「最初の祈り」を込めた「ファーストシューズ」なんだ。実用性だの、流行りだのは関係ない、幸せに育ってっていう願いだけを受け取ってもらえたらそれでいい、と思えてね。

ファーストシューズワークショップ

お嫁さんのサヤカちゃんはね、この靴、すごく喜んでくれたんです。お友達二人には、そんなの本音じゃないかもよ?なんていわれそうですけれど。そんなことないわよね、だってサヤカちゃん、「私も作りたい!」って言ったんだから。

次回、一緒に行く約束にしてるんです。「ファーストシューズ」が増えちゃって、どれが本当のファーストになるのかは、ちょっと気になっているのですけどね。

ファーストシューズワークショップ

※写真はイメージです。

【ファーストシューズ物語】〜宇佐木野生(うさぎのぶ)作〜

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*実際に「ファーストシューズハンドメイドキット」を購入されたお客様からお伺いしたお話をベースに、作家・宇佐木野生(うさぎのぶ)さんが「ファーストシューズ物語」を執筆しました。

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