【ハート将棋物語】〜ハートの雲を運ぼう〜

4月、クラス替え。

前のクラスの仲良しとはだいたい一緒だったから

あんまり困ったことにはならなかったけど。

ちょっと気になってることがある。

今まであんまり知らなかった子なんだけど

イイヤマ・サエちゃん。

あの子が持ってるバッグが気になってしかたない。

 

少し横長のカタチのトートバックっていうのかな。

みず色でね、真ん中に大きな白いハートがあるの。

持ち手の長い紐を

肩にかけてサエちゃんが

歩いているとね

空に浮かんだハート型の雲が動いているみたいに見えるんだ。
いいなあ、欲しいなあ…。

ねえ、そのバッグ可愛いね、

どこで買ったの?

そのハートは印刷してあるの?ちょっと見せて

…っていえばいいんだけど

何だか話しかけるタイミングが見つからない。

席もちょっと離れているし

サエちゃんは休み時間もあまり外に出ないで

席に座ったまま近くのお友達と話して過ごしてるみたいだし。

今まで話したことないのに

わざわざ、お友達をかき分けて

近くに行って

急にバッグの話なんかしたら。
ヘンな子、決定!だもんね。

だから、
気になってるんだけど

登下校のたびにサエちゃんがハート型の雲を運ぶのを

ただみているだけなんだ。

 

 

 

 

風の強いある日にね、咳がとまらなくなっちゃって
体育の時間をお休みすることになったの。
「今日は外で見学ではなくて、教室で読書でもしていてね。

学年主任の先生に、ときどき覗いてくださるようにお願いしておくから」

担任の先生がそう言って、図書館の本を何冊か置いていった。

 

本は嫌いじゃないけど、しばらくしたらどうにも退屈でたまらなくなっちゃったんだよね。

それで、立ちあがってふうっと伸びをしたら、サエちゃんの机の横に下げられたあのバッグが目に入ったわけ。

これって、どこで売ってるんだろう?
作った会社の名前とか書いてあるよね。

それともサエちゃんのママの手作りかな?そしたらどこにも売ってないかあ。
白いハートは印刷してあるのかな、布が貼ってあるのかな…。

あんまりやっちゃいけないことだけど、ちょっとだけ、ちょっと見るだけならいいよね。

 

ドキドキしながら手を伸ばしたら、指先が震えて机のフックからバッグが床に落ちちゃった。
中身が床にこぼれ出た。社会科の資料と、音楽の教科書と…ん?

「マンガ版将棋入門」?!

しょうぎにゅうもん、だって。サエちゃんこんなの読んでるんだあ。初めてでもすぐさせる…ふうん。 本を拾い上げながらパラパラ、ってページを覗き見ていたら、急に声がした。

 

「ミヤザキさん、将棋好きなの?」

サエちゃんだった。

びっくりした。困った。バッグをこっそり触ろうとしたとこ、見られちゃった??しかも、私、いま、本まで読んでるし。どうしよう。

「あ、え、あのね、ごめん、えっと、今バッグが落っこって。中身が出ちゃったから拾って、あの…」

「ああ、いろいろやたら詰め込んでるからね。拾ってくれてありがとね。あ、その本面白いでしょ。ねえ、ミヤザキさん、将棋やるの?」

「ショーギ…ああ、この本。」

「うん、将棋。最近おじいちゃんが将棋のセット買ってくれてね。すごく面白いんだけど、将棋できる人あんまり周りにいなくて。ね、ミヤザキさん、将棋好き?」

 

サエちゃんは私が思っていたよりずっと元気でおしゃべりだった。

体育の時間中に転んで怪我したんだって。

「血が出たから保健室行ってばんそこ貼ってもらって、先に教室に帰ってきちゃったの。ねえ、ミヤザキさんはショーギやらない?」

ほとんど初めて話すのに、サエちゃんがショーギショーギとまくしたてるのがなんだか面白くなって、

「やったことないけど、ちょっと興味はあるかな」

なんて答えちゃった。

「ほんと!!じゃさ、今日とかうちに来て。将棋やろう。すぐ覚えられるよ。だっておじいちゃんが買ってくれたのはハート将棋だからね。どう動くのかなんてすぐわかるんだよ。おもしろいよ、将棋。」
ハートショーギって何?なんだかわからないけど、新しい友達と将棋初めてやってみるのもいいかもな、と思ったの。

 

その日の放課後、私は誘われるままにサエちゃんの家に遊びに行ってビックリ!
ハート将棋の駒って、本当にハート形をしていた。


そしてそして、さらにびっくりしたのは
サエちゃんが持ってるあの素敵なバッグは、ハート将棋のセットを収める入れ物だったってこと。

 

「ほんとは中身も持って行きたいんだけど…カバンだけね。」
よく見せてもらったら、白い大きなハートの横にshogiって書いてある!

それから、私たちはすっかり仲良しになったんだ。
サエちゃんはもう私のことを「ミヤザキさん」じゃなくて「ミオちゃん」って呼ぶし、

将棋もいい勝負ができるようになったよ。

ああ、もちろん、私もパパにおねだりしてハート将棋を買ってもらった。

だから、学校の行き帰りには二人で仲良く「ハートの雲」を運んでる。

 

 

【ハート将棋物語】〜宇佐木野生(うさぎのぶ)作〜

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*実際に「ハート将棋」を購入されたお客様からお伺いしたお話をベースに、

作家・宇佐木野生(うさぎのぶ)さんが「ハート将棋物語」を執筆しました。

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ナチュリブのハート将棋はこちら↓

可愛いピンクの「ハート将棋」

 

動画はこちら↓