【ファーストシューズ物語】〜パパのファーストワーク〜

エミとハヤトへ

 

lineでもメールでもなく、あえて手紙を書いている自分にちょっとびっくりしてる。でもまあ、そんな気分なんだ。

ハヤトのために、靴を作りました。

生まれて3ヶ月目くらいにお食い初めとかお百日っていうお祝いごとするんだってね。俺、そういうイベントにも同席できないし、父親からっていうのは変なのかもしれないけど、記念のプレゼントを贈ります。

単身赴任で、出産の時も、その後の育児もエミに任せきりなこと、本当に申し訳なく思ってるから、まあ、これはお詫びと感謝の気持ちも込めてね。…っていや、そうじゃないな、正直に言おう。なんかさ、子育てっていうのに関われてないのが物足りなくてさ。
ハヤトが笑ったの、ハヤトと公園に行ってみました、ハヤトが夜寝てくれなくて辛い…インスタ、動画、電話、毎日教えてくれてありがとう。本当に良い時代だな、って思うよ。俺は遠くから、君たちの素敵な様子を見ることができて、すごいなあ!とか、頑張れよ!とか声をかければ良い。美味しいとこ取りだよね。

でもさ、勝手な言い方かもしれないけど、そういうのが寂しくなったんだな。もっとこう、なんかちょっと苦労したくなっちゃったわけ。父親として子育ての辛さ、大変さ、みたいなものを感じられないのが寂しさの原因なんじゃないかって。俺にもなんか出来ることねーかなあ、って探してみた。
同僚がね、ファーストシューズキットってのを教えてくれた。子供が最初に履く靴を手作りしようっていうんだ。これ、すげーな、って思った。ハヤトが踏み出す最初の一歩のための靴を俺が作る。たとえ徹夜が続こうとも。

 

広大な草原に踏み出す少年、みたいなイメージで、皮の色はオリーブを選んだ。セットについていた糸と針を使って、皮を縫い閉じていく。針穴に糸を通していくだけだから、そんなに難しくはない。とはいえ、縫うなんて作業は小学校の家庭科以来だから、ゆっくりペースだったけどね。

オリーブ色のファーストシューズ

 

不慣れな作業をしながら、俺はいろんなことを考えたよ。ハヤトは今日も夜泣きしてんのかな、エミも大変だよなあ、この靴出来上がったら一緒にどこか行こうな、第一歩はどこに立つんだろうなあ?いや、どこだって良い、しっかりと地面を踏んでくれれば、とにかく元気に育てよ、幸せになれよ…ひと針ひと針、だんだんもう、お祈りに近くなってた。

 

ファーストシューズハンドメイドキット

 

パパが夜鍋仕事を続けて作ったんだぞ…っていつか威張るつもりだったんだけど、気がついたら(本当に数時間だったよ)、オリーブ色の皮に白いリボンのついた小さな靴が一足出来上がってた。

 

オリーブ色のファーストシューズ

俺の手のひらに乗っかっちゃう可愛らしい靴を見て、ハヤトはこんなにも小さな足で地面に立つんだなあ、心配だなあ、でもエミとオレは信じよう、祈ろう、どうか頼むから無事に、幸せに、歩き続けていけますように。俺は全力でそれを守ろう。…ちょっと泣けちゃったことを告白します。

なんか、ものすごく変な手紙になった。ごめん。
そんなわけで、君が普段している子育ての苦労の何十分の一も負担できていないけど、ファーストシューズづくりのおかげで父親としてのファーストワークをやった気になってる。なんか一人で満足していて申し訳ない。

今さ、普段使わないような言葉しか思いつかないから、書いちゃうけど…どうか、俺の愛する息子がしっかりと大地を踏みしめて安全に歩いていけますように。俺とエミがその支えになれますように。

そう祈るばかりです。本当にありがとう。

 

リョウタ

追伸:

よく考えたらさ、ハヤトまだしばらくは歩かないよな?それまでに俺がそっちに戻れますようにってのも、エミも一緒に祈ってくれると嬉しい。

 

【ファーストシューズ物語】〜宇佐木野生(うさぎのぶ)作〜

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*実際に「ファーストシューズハンドメイドキット」を購入されたお客様からお伺いしたお話をベースに、作家・宇佐木野生(うさぎのぶ)さんが「ファーストシューズ物語」を執筆しました。

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【ファーストシューズハンドメイドキット nico 12cm】

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